はじめに
白内障手術を受けた右目の眼圧が21mmHgまで上昇し、さらに健康だと思っていた左目にも視野欠損が現れました。網膜剥離の既往もある私の複雑な眼の状況について、調べたことや学んだことをまとめてみます。
現在の私の状況
- 右目:白内障手術済み、眼圧21mmHg、コソプト点眼中
- 左目:眼圧17mmHg(正常範囲)だが視野欠損あり
- 既往歴:網膜剥離
- 診断:視野検査でボーダーライン
以前は右目の眼圧が19mmHg程度で安定していたのに、なぜか21mmHgまで上昇してしまいました。そして驚いたことに、眼圧が正常な左目にも視野の欠損が出現し、緑内障のボーダーラインと診断されてしまったのです。
二つの大きな疑問
この状況で、私には二つの大きな疑問が生まれました。
- 健康な眼圧なのに緑内障の危機
- 目薬をしているのに眼圧が高くなっている
この疑問について、詳しく調べてみることにしました。
正常眼圧緑内障という現実
まず、左目の状況について調べてみると、これは「正常眼圧緑内障」と呼ばれる症状で、日本人に非常に多い病気であることがわかりました。
正常眼圧緑内障とは
眼圧が正常範囲内(10~21mmHg)であるにもかかわらず、視神経が障害され、緑内障を発症する病気です。日本の眼科医会によると、日本人の緑内障患者全体の7割以上を占めるとされています。
つまり、眼圧が正常でも安心できないということです。これは私にとって大きな驚きでした。
続発性緑内障
右目の状況については、続発性緑内障の可能性が考えられます。これは、他の眼疾患や手術の影響で二次的に発症する緑内障のことです。
私は特に、網膜剥離をしてますので、右目は続発性緑内障であります。
白内障手術後の眼圧上昇の原因
- 術後炎症の影響:手術による炎症が房水の排出を阻害
- 眼内レンズの影響:レンズの位置や種類による房水循環への影響
- 瞳孔ブロック:術後の癒着による房水循環の阻害
房水と眼圧の関係
眼圧を理解するためには、「房水」について知る必要があります。
房水(ぼうすい)とは
眼球内の前眼房と後眼房を満たす透明な液体で、以下の重要な役割があります:
- 角膜や水晶体などの無血管組織への栄養供給
- 眼圧を一定に保つ
- 毛様体で産生され、瞳孔を通って前眼房に入る
- 隅角からシュレム管を介して眼外に排出
この房水の排出がうまくいかないと、眼圧が上昇してしまうのです。
眼圧を上げる日常の要因
調べてみると、意外にも日常生活の中に眼圧を上げる要因がたくさんありました。
避けるべき行動
- スマートフォンやパソコンの長時間使用
- 過度な運動(心拍数が異常に上がるような運動)
- 重いものを持ち上げる動作
- ヨガなどで頭が心臓より低い位置になるポーズ
- うつ伏せでの長時間睡眠
- 精神的なストレス
これらの要因は、以下のメカニズムで眼圧を上昇させます:
- 房水の流れの悪化:線維柱帯の通りが悪くなり、房水の排出が滞る
- 眼球の圧迫:外からの圧迫や筋肉の緊張により血流が悪化
- その他の要因:睡眠時無呼吸症候群、ステロイド薬の長期使用など
治療選択肢を探る
現在の状況を改善するための治療選択肢について調べました。
薬物療法の強化
現在使用しているコソプト(ドルゾラミド・チモロール配合剤)から、より効果の強い薬剤への変更が考えられます:
- プロスタグランジン系点眼薬:ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロストなど
- 配合剤の追加:複数の作用機序を持つ薬剤の組み合わせ
レーザー治療という選択肢
薬物治療で効果が不十分な場合、レーザー治療が検討されます。
緑内障のレーザー治療には、主に以下の2つの方法があります:
- レーザー虹彩切開術(LI)
- 閉塞隅角緑内障の治療法
- 虹彩にレーザーで小さな穴を開ける
- 房水の流れを改善し、隅角の閉塞を防ぐ
- 選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)
- 開放隅角緑内障の治療法
- 房水の排出路である線維柱帯にレーザーを照射
- 房水の流れを改善することで眼圧を下げる
生活習慣の見直し
治療と並行して、生活習慣の改善も重要です。
推奨される生活習慣
- 定期的な適度な運動(ウォーキングなど)
- 十分な睡眠と規則正しい生活
- ストレス管理
- 水分摂取の調整(一度に大量摂取を避ける)
- デジタル機器の使用時間制限
今後の治療方針
短期的な対応
- 薬物療法の見直し:より強力な眼圧下降薬への変更検討
- レーザー治療の検討:SLTの適応評価
- 経過観察の強化:眼圧測定と視野検査の頻度増加
長期的な管理
- 両眼の視野進行の綿密な監視
- 必要に応じた手術的治療の検討
- 生活習慣の継続的な改善
私が学んだこと
この経験を通して学んだ重要なポイントは以下の通りです:
- 眼圧が正常でも緑内障になる可能性がある(正常眼圧緑内障)
- 日常生活の習慣が眼圧に大きく影響する
- 早期発見・早期治療が最も重要
まとめ
私の場合、右目の続発性緑内障の可能性と左目の正常眼圧緑内障という、二つの異なるタイプの緑内障が併存している可能性があります。
現在の眼圧21mmHgという数値は、手術眼としては要注意レベルです。まずは薬物療法の強化を検討し、それでも効果が不十分な場合はレーザー治療を早期に検討することが重要だと理解しました。
最も大切なのは、定期的な眼科受診を継続し、医師と密に連携を取りながら、個々の状況に応じた最適な治療計画を立てることです。
同じような状況の方の参考になれば幸いです。そして、この記事を読んでくださった方も、定期的な眼科検診を受けることをお勧めします。
※この記事は個人的な体験と調査に基づいて書かれています。症状や治療については、必ず眼科専門医にご相談ください。